2022年7月2日午前1時35分よりKDDI(au)の全国的な通信障害が発生し、「ほぼ復旧」するまでおよそ63時間を要しました。
これだけ長時間に及ぶ全国的障害は大変めずらしいもので、KDDIとしても過去最大規模の障害であることを示唆しています。
過去を振り返ってみるとdocomoやソフトバンクも同じように通信障害を起こし、そのたびに総務省は再発防止などを指示する行政指導を行っています。
何よりも怖いのは今回の長時間にわたる障害で
「救急車が呼べない」「コロナ患者との連絡が取れない」等、
人命に係わる問題も少なくなかったことです。
そこで通信業界に勤める私 セツパパが今回の障害についてのまとめと、我々利用者が通信障害に振り回されないためのオススメの対策を提案したいと思います。
au通信障害の原因は VoLTE交換機での輻輳(ふくそう)
2022年7月2日午前1時35分よりKDDI(au)の全国的な通信障害が発生し、「ほぼ復旧」するまでおよそ63時間を要しました。
現在7月4日22時の時点でもネットワーク試験の検証を行っており、本格再開時間は別途、案内すると発表されています。
障害の原因として公表されているのが2022年7月2日(土)未明の設備障害により、VoLTE交換機でトラヒックの輻輳(ふくそう)が生じたこと。
※輻輳(混雑により通信がつながりにくくなること)
今回の障害の対象サービスは「au携帯電話」「UQ mobile携帯電話」「povo」「au回線利用事業者の通信」をはじめ「ホームプラス電話」「ホーム電話」「auフェムトセル」「SMS送受信」となっており、約3915万回線に影響が出ました。
また、au回線を使う銀行のATMや運送会社の物流、気象庁アメダスデータにも支障をきたしました。
今回のように長時間にわたる障害で怖いのは
「救急車が呼べない」
「(保健所が)コロナ患者との連絡が取れない」
「登山中に救助連絡ができない」
等、人命に係わる問題も少なくなかったことです。
下記にある、「携帯電話 大手キャリアの主な通信障害」を見てみると、今回の障害がいかに長かったか分かります。
携帯電話 大手キャリアの主な通信障害
発生年 | 通信キャリア | 発生期間 | 影響人数 |
2012年 | KDDI | 約1時間 | 約615万人 |
2018年 | ソフトバンク | 4時間半 | 約3,060万人 |
2021年 | docomo | 最大29時間 | のべ1,290万人 |
2022年 | KDDI | 62時間以上 | 最大3,915万人 |
ただし通信障害というのは過去を振り返ると、今回のKDDI(au)だけではなく、どこの通信キャリア(会社)であっても、起こっています。
我々利用者にできる「対策」は あるのでしょうか。
障害に強い「デュアルSIM」スマホ
みなさんはデュアルSIM対応のスマホというのをご存知でしょうか?
私たちの利用しているスマホ(iPhone含む)には「SIMカード」といわれるICチップが挿入されています。
このSIMカードには利用者自身の電話番号が書き込まれており、スマホに挿入し認識させることで電話の発着信や、モバイルデータ通信(インターネット)が可能となります。
デュアルSIMとは電話番号が書き込まれたSIMカードが2つ(デュアル)、挿入できるスマホということ。
1台のスマホで2つの電話番号を利用できますし、モバイルデータ通信も2つのSIMを切り替えて利用することができます。
それぞれのSIMは同じ通信キャリアでなくても問題ありません。
SIMロックが解除されている前提となりますが、例えば1つ目のSIMがドコモ、2つ目のSIMがソフトバンク なんてことも可能です。
SIMロックとは
実は「SIMロック」といっても、下記の2つの意味合いがあります。
今まではSIMといえば挿入するカードタイプ「物理SIM」が一般的でした。
しかしながら2018年に発売されたiPhone XR・XS以降の機種(iPhone SEを除く)では、物理SIMだけではなくeSIMにも対応し、物理SIM+eSIMのデュアルSIMが採用されています。
AndroidにもデュアルSIM対応の機種は、近年増えてきています。
eSIMについて詳しく知りたい方はこちらをご覧下さい
ここまで読んでいてカンの良い方は、もう気付いているかもしれません。
そう、デュアルSIM対応のスマホを活用し、1つ目のSIMと2つ目のSIMであえて違う通信キャリア(会社)のSIMを契約して使うのです。
例えば1つ目のメイン回線をドコモ回線のahamo。
2つ目のサブ回線をソフトバンク回線のLINEMO、というように契約するのです。
これでしたら どちらかの通信回線に障害が発生しても、残る方の通信回線(SIM)を有効にすることで電話やデータ通信(インターネット)が可能です。
例えばメイン回線のahamoが地下などの電波が悪い場所でも、サブ回線のLINEMOに切り替えることで電波が良くなる可能性は充分ありえます。
2022年4月に北海道で起きた知床観光船沈没という痛ましい事故も、海上でau回線が圏外だったため連絡が取れず、救助が遅れた可能性が指摘されています。
問題の知床海上区域では知床遊覧船の元従業員よりdocomoの電波であれば圏外にならないとの情報が上がっています。
そのため事故のとき遭難を告げる通報は、船長のau携帯電話ではなく乗客のドコモ携帯電話から発信されていたと報道されています。
もちろん、デュアルSIM端末で通信会社を切り替えれば必ずつながるという保証はありません。
それとサブ回線に切り替えたとしても、データ通信に関しては表示するWEBページに差はありませんが、電話を発信する際は、サブ回線の電話番号で発信することなります。
普段利用している電話番号の回線が利用できないため、サブ回線に切り替えて発信したとしましょう。
その場合 相手に通知される電話番号はサブ回線の番号になってしまうことに注意が必要なのです。
またデュアルSIM端末ではデータ通信に2つのSIMを同時には利用できないため、通信に利用するSIMをどちらか1つ選択します。
設定で もうひとつの違うSIMに切り替えることも可能。
なお、電話に関してはDSDV機種の場合、2つの電話番号で着信ができますし、発信の際も2つの電話番号から選択して電話をかけられます。
災害時にも強い「衛星電話」
ここで通信キャリアの障害ではなく、大規模災害時について少し考えてみましょう。
東日本大震災のときは最大で、約2万9千局の携帯電話 基地局が停止しました。
主な原因は停電、その他 伝送路断が上げられています。
携帯電話が不通となったとき、連絡手段として活用されたのが「衛星電話」。
衛星電話はその名の通り地球上を回っている衛星を利用した携帯電話で、通信衛星と直接通信するため地上のインフラに影響を受けません。
そのため災害時に威力を発揮し、携帯電話が圏外となるような海や山でも、電話やSMS(ショートメール)を利用できます。
しかしながら維持費や通話料金が高いことと、電話とSMSが主なサービスとなること、音声の遅延もあるため一般には普及に至っていません。
しかし災害時に役立つ通話手段としては強い味方となるはずです。
メイン回線とサブ回線おすすめの組み合わせ
それではデュアルSIMスマホを始める方のために、メイン回線とサブ回線でおすすめの組み合わせを紹介します。
ポイントは安定した電話とデータ通信のつながりやすさ、そしてやはり維持費(コスパ)です。
もちろん月に何ギガくらいデータ通信を使うかと、電話をどれくらい発信するかによってもオススメの通信キャリアやプランは変わってきます。
そこでおすすめプランを以下4パターンに分けてみました。
あなたはどのパターンにいちばん近いですか?
パターン1⃣ 通話5分かけ放題 と データ通信3GB +0.5GB
パターン2⃣ 通話5分かけ放題 と データ通信20GB +3GB
パターン3⃣ 通話完全かけ放題 と データ通信20GB +3GB
パターン4⃣ 通話完全かけ放題 と データ通信100GB +3GB
パターン1⃣ 通話5分かけ放題 データ通信3GB +0.5GB
自宅でWi-Fi環境がある等、データ通信をあまり使わない方はコスパ重視のパターン1。
電話5分かけ放題が付いているので、短い通話が多い方も安心です。
データ通信は合計3.5GBですが普段はソフトバンク回線を使い、いざというときはドコモ回線も利用できてこの月額は破格です。
パターン1⃣では電話・データ通信ともにソフトバンク回線をメインに利用します。
LINEMO(ラインモ)はLINEのアプリで利用するトークや通話、スタンプがデータ通信を消費しないので、LINEをよく使うあなたにはさらにオススメ。
3GBで足りなくなったときは、データ通信をサブ回線のOCNモバイルに切り替えることで0.5GB利用できます。
●LINEMO + OCNモバイル 合計2,090円/月
回線 | プラン名(コース) | オプション | 月 額 | |
メイン | ソフトバンク | LINEMO(ミニプラン) | 準通話定額オプション | 1,540円 |
サ ブ | ドコモ | OCNモバイル 500MB/月コース | – | 550円 |
LINEMOでは定期的にミニプラン半年間無料やフィーバータイムでキャッシュバックをしてるので、公式サイトを要チェック!
パターン2⃣ 通話5分かけ放題 データ通信20GB +3GB
データ通信が3GBでは足りないという方はこちら。
メイン回線にahamoの20GBプランを利用しますので、対応機種なら超速なドコモの5G通信のインターネットを楽しめます。
パターン2⃣ では電話・データ通信ともにドコモをメイン回線として利用します。
●ahamo + LINEMO(ミニプラン) 合計3,960円/月
回線 | 回 線 網 | プラン名(コース) | オプション | 月 額 |
メイン | ドコモ | ahamo | – | 2、970円 |
サ ブ | ソフトバンク | LINEMO(ミニプラン) | – | 990円 |
パターン3⃣ 通話完全かけ放題 データ通信20GB +3GB
通話が多い方のオススメプランはこちら。
ソフトバンク回線を使うLINEMO(ラインモ)のスマホプラン(20GB)に、電話のかけ放題オプションをプラス。
緊急時にはドコモ回線のOCNモバイル(月550円のプラン)を使うので、いざというときも、毎月の維持費も どちらも安心。
パターン3⃣では電話・データ通信、どちらもソフトバンク回線をメインに使います。
●LINEMO(スマホプラン) + OCNモバイル 合計4,928円/月
回線 | 回 線 網 | プラン名(コース) | オプション | 月 額 |
メイン | ソフトバンク | LINEMO(スマホプラン) | 通話定額オプション | 4,378円 |
サ ブ | ドコモ | OCNモバイル 500MB/月コース | – | 550円 |
パターン4⃣ 通話完全かけ放題 データ通信100GB +3GB
電話もデータ通信もどちらもたくさん使うあなたは、こちらがオススメ。
ahamoに新たに始まった「大盛り」オプション、ご存知ですか?
通常データ通信20GBが「大盛り」にすることで80GB追加され100GBにパワーアップ。
しかもahamoでは100GBすべてがテザリングにも利用可能なんです。
パターン4⃣では、電話・データ通信ともにドコモ回線をメインに使います。
●ahamo大盛り + LINEMO(ミニプラン) 合計7,040円/月
回線 | 回 線 網 | プラン名(コース) | オプション | 月 額 |
メイン | ドコモ | ahamo | 大盛り+かけ放題オプション | 6,050円 |
サ ブ | ソフトバンク | LINEMO(ミニプラン) | – | 990円 |
猫じゃらしさん、メールありがとう
デュアルSIM デュアルVoLTE のおすすめは?
デュアルSIM機を使うなら、DSDV(デュアルSIM デュアルVoLTE )対応機種がオススメです。
2つのSIMを切り替えることなく両方の電話電話の発信と着信ができ、2つのSIMどちらでも4G回線を利用できるので、通信を行いながらVoLTEの高品質通話ができるからです。
おすすめはやはりApple社のiPhoneシリーズです。
iPhone XS モデル、iPhone XR、iPhone 11 モデル、iPhone 12 モデル、iPhone 13 モデルであれば物理SIM と eSIMに対応しています。
せっかく今から購入するなら、マスク顔でロック解除と5G通信に対応しているiPhone 12モデルの「iPhone 12」、「iPhone 12 mini」、「iPhone 12 Pro」、「iPhone 12 Pro Max」をオススメします。
iPhone13モデルも良いのですが、最新モデルはまだお値段が…。
コスパで選ぶならAndroidがオススメ。
私 セツパパも愛用しているOPPO製のReno5 Aは、eSIMと物理SIM両方に対応し、ロック解除も指紋認証 と 顔認証対応。
マスク顔時は指紋で解除、手袋してるときは顔で解除と便利。
さらに5G通信・おサイフケータイ・防水防塵でお値段もお手頃。
iPhoneもAndroidもSIMとセットで契約するなら、OCN モバイル ONEがお買い得です。
SALEマークが定期的に変わるので、マークが付いてる機種をオススメします。
セール期間でないときは、あわてて購入せず2~3日してから再度OCNサイトを見てみましょう。
まとめ ~待たれる事業者間ローミングの実現~
今回は通信障害が起こったときに、通信インフラを確保するため、1台で2つの通信会社の回線を利用できる「デュアルSIM」端末の活用方法を紹介しました。
令和4年8月3日、金子総務大臣が臨時の記者会見で7月2日に起こったKDDIと沖縄セルラーに対する大規模通信障害に対しての行政指導について言及しました。
その際に【非常時における事業者間ローミング等に関する検討会】を令和4年9月を目処に立ち上げる としました。
「非常時における事業者間ローミング」とは、
1通信会社(キャリア)の通信障害等で、携帯電話が長時間利用できなくなる事態になったときに、臨時的に他の事業者へのネットワークへ乗り換えられる仕組みのこと。
これが実現すると、例えばau回線の利用者が今回のような障害時に、ドコモやソフトバンクの回線を利用して、緊急通報の電話ができるようになります。
ただ、事業者間ローミングを実現するためには、具体的な機能や運用ルール、ネットワーク設備の改修など、検討すべき課題が山積しています。
我々利用者としては障害時に緊急通報ができるようになることはもちろん重要です。
ですが仕事や普段の生活を滞りなく進めれるよう、一般の連絡手段としての通話やデータ通信(ネット閲覧)ができることも大切です。
1事業者と契約するよりも月額料金は多くかかりますが、自衛策として今回説明したデュアルSIMを検討してみてはいかがでしょうか。
最後まで読んでくれて、ありがとうございました